2005年12月29日

Communication 2.0を考える[1]

2005年に大きく取り上げられたキーワードのひとつに「Web 2.0」がある。
NetscapeやWindows 95登場の波に乗って、
インターネットが一般に広まっていったのが今から10年ほど前。
その後、Web技術はどんどん進化していった。
最初はシンプルなHTMLとヘルパーと呼ばれるWebブラウザーを補佐するアプリケーションで成り立っていた。

その後、Webブラウザ開発社による熾烈な競争を通して、
プラグイン構造やJavaScriptやFlashなどの技術を取り込んでいった、

今日ではRSSを含むXML形式のデーターを扱う
アプリケーションプラットフォームとしても成長しつつある。


その一方で、進化が止まっているのが電子メールだ。
かつては「インターネットの真のキラーアプリケーションは(Webではなく)メール」などとも言われた。

しかし、毎日、送られてくる何十、何百(あるいは人によっては何千)通の
迷惑メールの仕分けに多くの人が忙殺されている。

メールを使い込んでいる人ほど、迷惑メールの数も多いのだからたまらない。

最近、blogやSNSの人気が高まってきたが、
これには迷惑メールの影響で
「電子メールがもはや使い物にならなくなってしまった」
こともあるのではないかと思う。


確かに最近のメールソフトの中には、迷惑メールの仕分け機能を備えたものもある。
HTMLメール機能やスレッド表示機能など、そのほかにも新機能が加わっているが、
それは各社の電子メール(クライアント)ソフトが、ゆるい競争の中、個別に追加してきた機能であって、
業界全体で「新時代の電子メールのあり方を考えて」つくりだしてきたものではない。

電子メールソフトは、Webブラウザーと比べて、圧倒的にユーザーの忠誠度が高い。
なかなかユーザーはソフトを切り替えようとはしなければ、
他のソフトを併用しようとも思わない。

そのため、開発社の間では競争もゆるければ、提携や協業もあまり行われない。

Webブラウザーは普及してすぐにSSL(暗号化通信)を採用してeコマースの普及と発展に貢献したが
電子メールではこのSSLに匹敵する技術すらちゃんと広まっていない。
(あるにはあっても、これがスタンダードというものがない)


今日、電子メールはkiller applicationではなく、むしろdead applicationになりつつある。

ちょうど、そんなところにうまくBlog(イントラブログも含む)や、SNS、IM(インスタントメッセンジャー)やVoIP(IP電話)が広まり始めたのは決してただの偶然ではないはず。

まだWeb 2.0ほどリアルに見えてきてはいないが、2006年あたりはCommunication 2.0のあり方が問われることになるのかもしれない。

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Posted by hayashi at 2005.12.29 15:06 | トラックバック (0)

2005年09月07日

本音議論を誘発する社内blog

Blogというと、RSSやXML-RPCといった最新のWeb技術を採用していることも注目の的だが、
一方で、そのアナログ的使われ方も重要なのではないかと最近思う。

先月、毎日コミュニケーションズ社から「ビジネスブログブック2」、「ビジネスブログブック3」という書籍が発売された。小川浩氏、後藤康成氏、佐藤匡彦氏、青野慶久氏らとの共著で私は事例の部分を書かせていただいたのだが、この事例集を書くにつれて、ますますそういう思いが強まった。

'90年代中頃のテクノロジー一辺倒の考えでいけば、例えば企画の提案なら企画用と銘打った電子フォームを用意して、空欄に情報を埋め込んでいく、というのが正当なやり方に思える。

こうすることで、書類に関するさまざまな属性ーー例えば、製品企画なら、製品価格はいくらなのか、発売日はいつなのか、といった情報をコンピューターの側でも識別できる。

同じことを社内blogでやると、見出し+本文というシンプルな構成になる。
どれが製品価格で、どれが発売日かは、人間が中を読んで初めてわかる、というものだ。

その代わり、すべてがフリーフォーム状態なので、書く側の気負いはかなり少なくなる。
実は社内blogでは、これが大事になる。
型が決められていると、それだけ自由度が小さくなり、気負いの部分が大きくなる。
そして企画に対する自分の本音の部分が、その気負いの中に消えていってしまうのだ。

フォームの書式に沿ってキッチリと書かれた無機質な文章ーーそんなものが対処では、コメントをつける側にも気負いが発生して、なかなか自由に本音の発言をすることができない。

blogでは、最新技術ももちろん重要だが、それはユーザーに見えないところで、情報流通を効率化する上で重要なだけ。

実際に使う際に重要なのは、どんな用途にでも使える大ざっぱさ、アナログ感覚、の部分かもしれない。

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Posted by hayashi at 2005.09.07 16:38 | コメント (2) | トラックバック (2)

2005年06月26日

Blog? Wiki? ML?

まず最初に断っておきたいが、以下は、日記など対外的に情報を発信するためのBLOGではなく、ファイヤーウォールの内側、企業内などで運用するBLOGについての考えをまとめたもので、あらかじめその点は注意してほしい。

前のエントリーを書いてすぐに認知科学を研究する友人からメールをもらった。

友人のメールには:
BLOGはグループワークのツールとして必ずしも最良ではない。
むしろ、Wikiなどの方が便利なことも多い

といった主旨のことが書かれていた。

これには確かに同意できるところも多い。
彼も指摘しているBLOGで一番、問題となるポイントは、情報が時系列でアーカイブされるというポイントだ。
これにより古くなった情報は検索できるにはできるが、埋もれて目立たなくなってしまう。

もっとも、これは決して悪いしくみだとは思わない。
現在進行形、on goingのプロジェクトについてのなやりとりをするには、Wikiよりも圧倒的にBLOGの方が便利だろう。
前にもここで伊藤穣一氏の言葉を引用して「BLOGは会話」というエントリーを書いたが、その通りで、BLOGは社内利用に置いてもビジネスコミュニケーションをより増進させるツールといえる。

しかし、例えば以前に似たようなプロジェクトを実施した時の失敗から、新しい戦略を練ると言ったケースなど、Knowledge Management的な使い方をするとなると必ずしも便利とは言いきれない。

 こうした場合には、むしろWikiなどのツールの方が便利だろう。

もっとも、KM的用途ではWikiが最適かといわれれば、そうもまた思えない。

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Posted by hayashi at 2005.06.26 15:22 | コメント (2) | トラックバック (0)

2005年05月08日

「サステイナブル・ビジネス」、「サステイナブル・ナレッジ」を考える

「スロー・フード」、「スロー・ライフ」といったブームの流れで、最近では「サステイナブル(sustainable)」というキーワードが注目を集めているようだ。

【サステイナブル・デザイン/sustainable design】
例えば工業デザインの世界では「サステイナブル・デザイン」という言葉が注目を集めている。

エコロジーのことを真剣に考えるなら、大量生産、大量廃棄という今日のものづくりのあり方ではなく、長く使えるものを提供し、長く使い続けてもらう方がいいに決まっている。

最近、日本でも、ミッドセンチュリーのインテリアを扱う人たちの間から、古いデザインを見直そうとする動きなどが活発化している(とくにD&DEPARTMENTの活動は注目すべきだろう)

【サステイナブル・アグリカルチャー/sustainable agriculture】
家にあった古いAERA('05.5.2-9 No.24/p.67)を読んでいたら、「サステイナブル・アグリカルチャー」というのもあるらしい。
インターネット検索をしてみたところ、カタカナで検索してもたくさん候補が出てくる。
 日本語にすれば「持続型農業」。
 専門的なことも多く、よくわからないが、経済的都合ばかりを優先させて、無理矢理力づくで問題解決をするのではなく、多少コスト高でもより無理なく自然で、永続可能そうな方法に頼ることを指しているのではないかと思う。

 以前、個人BLOGの「世界遺産 秘めた力」というエントリーでも書いたが、「 自然の力にうまく身を委ねながら、そのパワーを吸収、活用する」というやり方は、実は日本人が本来得意としていた分野とも思える。

【サステイナブル・ビジネス】
さて、それではビジネスにおける「サステイナブル」とは一体なんだろう。
それを書く前に、インターネット検索をしてみたところ、見つかる、見つかる。
どうやら、私が無知だっただけで「サステイナブル・ビジネス」という言葉も、かなり注目を集めているらしい。
このblogのスポンサー、日立製作所のグループ親会社でも「サステイナブル・ビジネス・モデル」というページを設けており、しかも、それが検索エンジンの上位に食い込んでいる(このテーマ、スポンサー的にはいい選択だったのかもしれない)。

だが、ここでは私が考えていた、もっとスケールの小さな「サステイナブル」について書かせてもらおう。

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Posted by hayashi at 2005.05.08 15:43 | コメント (1) | トラックバック (1)

2005年04月15日

検索とrelevancy

前に「relevancy」というエントリーで、これからは情報を集めてくることよりも、絞り込んでもらうことの方が重要と言う話を書いた。

それに関連する話をいくつか...

relevancy.5:Tigerは上位20件

革新性を唱うアップルは、やはり、relevancyによる絞り込みの重要さに気づいていたようだ。
同社が発売するMac OS X v10.4 "Tiger"では、メニューの右端にSpotlightと呼ばれる一網打尽検索のメニューが表示される。

メニューバーの一番上はキーワード入力欄になっていて、ここにキーワードを入力すると、いたるところを検索した結果が表示される。これまでのOSだと「いたるところ」といっても、単にハードディスク全域を指していて、そこにあるファイルという形を取った情報しか検索できなかった。それも大概はファイル名を対象にした検索だった。

 Spotlightには、もちろん、こうした「ファイル検索」の能力も備わっていて、ハードディスクのどこにあるファイルでも見つけ出してきてくれる。それもファイル名がキーワードを含むものだけでなく、テキストやPDF、Office書類などの、書類文章中(あるいは画像中の文字データー)としてキーワードを含むものも見つけ出してくれる。

だが、Spotlightはここだけで止まらない。例えばそのキーワードに関連する画像ファイルや電子メールで受け取った項目、iCalと呼ばれるスケジュール帳中項目なども表示される。
  「あのアウトラインはWordで書いて保存したんだっけ?それともメールで書いちゃったんだっけ?」
 もはや、そんな記憶をたどる必要はない。
 Spotlightは、どこに受信した情報でも、どこに書き留めた情報でも、必ず見つけ出してきてくれるのだ。

話を元に戻そう、Spotlightとrelevancyの話に。

Spotlightで感心したのは、発見したすべての情報をいきなり全部表示するのではないこと。

実はメニューバーにキーワードを入力して検索を実行すると、まずは上位20件の情報だけが表示されるのだ。
これはファイル、画像、メール、スケジュールなどを横断的に探した上での20件だ。
残りの項目は「すべてを表示する」を選んで初めて表示される。

この「絞り込み」こそが、これからの時代には大事なんだと思う。

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Posted by hayashi at 2005.04.15 12:36 | トラックバック (0)