2010年08月28日
電子メールとの共存とは?
前回解説しました失敗事例と成功事例において、成功事例はソーシャルテクノロジーを「電子メールに依存していた業務コミュニケーション・コラボレーションの改善」を目的に導入していると解説しましたが、それは電子メールが不要になることを意味しているのでしょうか?
お客様への連絡手段は電子メールであり、また社内コミュニケーションのすべてにソーシャルテクノロジーを活用するのはかえって非効率です。
つまり、電子メールがなくなるのではなく、ソーシャルテクノロジーと共存し、さらには両者が連携することで、よりメリットをもたらします。
では、電子メールとソーシャルテクノロジーはどのように共存するのでしょうか?
このブログでも何度か解説していますが、ソーシャルテクノロジーは閲覧管理を目的とした「通知通達」や、個人の知識を組織知として蓄積・共有を目的とした業務を対象に活用しますが、最初からソーシャルテクノロジーを利用できるわけではなく、他部署から新規の依頼があれば、それは電子メールであり、電子メールを利用した連絡・ディスカッションを経て、依頼がプロジェクトや案件に発展した段階でソーシャルテクノロジーを利用することになります。
また、お客様からの障害連絡や調査が必要な問い合わせなどは、関係者が叡智を結集し解決策を検討するため、ノウハウとして蓄積する目的でソーシャルテクノロジーを活用しますが、電子メールで着信するためソーシャルテクノロジーに記事として転記する手間が発生します。
そこで役に立つのがメールを転送するだけでソーシャルテクノロジーへの投稿が可能な「メール投稿機能」です。
他にも電子メールとの連携は、ソーシャルテクノロジーに記事やコメントが投稿された際に対象者に電子メールにてアラートを行う「メール通知機能」があります。
通知通達や緊急連絡・依頼など至急対応が必要な記事やコメント内容をメンバーに通知する際には不可欠な機能です。
このように電子メールとソーシャルテクノロジーには共存し、さらに連携することでより効果を発揮することになります。
Posted by matsumoto at 2010.08.28 16:41 | コメント (0) | トラックバック (0)
2010年08月22日
社内SNSは失敗する?
社内SNSを導入しても期待する効果を出せず、利用を中止した企業は実に多いようです。
期待した効果や中止した理由はさまざまですが、おおよその傾向として以下があげられます。
・特定のコミュニティは盛り上がるものの、ほとんどのコミュニティは誰も利用していない。
・誹謗中傷の内容の投稿が増加し、2チャンネル状態となる。
・不快な経験をしたユーザからのクレームが増加する。
最終的には利用者が減少し、終息していくケースが多いといえます。
2005年~2008年頃は様々な企業が競って社内SNS(またはイントラブログ)を導入した時期でしたが、それは一時的なブームに過ぎなかったのでしょうか?
実は成功している企業も存在し、成功している企業では社内SNSが中枢的な社内インフラとして機能しています。
前回の記事の中でご紹介した弊社の使い方も成果を上げている事例のひとつです。
そういった観点から、あらためて成功事例と失敗事例の分析を行ってみたいと思いますが、成功の定義は様々であるため、ここでは「社内コミュニケーションの活性化」や、「コラボレーションの支援による業務の生産性の向上」などを成功の定義と考えます。
以下に比較をまとめてみました。
まずは、失敗事例です。
導入時に検討したことは、これまでの社内システムの考え方には存在しなかった従業員同士の意見交換や交流を促進するコミュニティ機能や、従業員がそれぞれの考えや想いを社内に向けて発信できるブログ機能に注目し、従業員の「モチベーションの向上」や「一体感の醸成」を実現しようと考えました。
ところが、ブログやコミュニティに投稿される内容が業務とはかけ離れた内容であったり、そもそも注目した機能であるはずの従業員が自由に情報を発信できることに問題意識を持ったことから、「不要な情報が氾濫する」、「情報漏えいの懸念」、「業務効率の低下」、「勤務時間帯の利用可否」などの懸念が発生し、その懸念に対して企業として明確な方針のないまま放置した結果、利用に否定的な職場の風土や、利用に必然性がないこともあり利用者が限定され「利用率が低い」という結果に至ります。
では、成功事例はどうでしょうか。
導入時に検討したことは、ソーシャルテクノロジーの特性である投稿されたコンテンツがアーカイブされることに注目し、「業務コミュニケーション・コラボレーション履歴が残る」。つまり従業員の知識・ノウハウが蓄積され電子メールに依存していた業務コミュニケーション・コラボレーションの改善を図ろうと考えました。また、投稿された記事は構造化され「カテゴリー」や「タグ」により検索・分類特性が優れていることも、蓄積したコンテンツの活用を支援することにつながります。
業務での利用という観点であったため、失敗事例のように職場から否定的な風土は起こりにくく、当然業務であったため利用時間の制限を受けることもありません。
残る懸念としては、「既存の業務システムとの住み分け」や「既存の業務システムとの連携」といった内容になりますが、逆にこの課題が解決すれば対象となる業務の担当者=利用となるため利用率低下の懸念はなく、利用する業務が増加することで着実に社内インフラとして定着していきます。
尚、成功事例につながるようなソーシャルテクノロジーに対する考え方や弊社の事例について、日立が発行する論文誌「日立評論」にも執筆していますので、ご一読願います。
Posted by matsumoto at 2010.08.22 09:03 | コメント (0) | トラックバック (0)
2010年08月08日
確定前の情報を共有する事例
前回、営業部門を例にSFA・CRMや販売管理システム、ワークフローなどで管理されているのは確定後の情報であり、関係部署との調整や解決・完了に至るまでの拡販プロセスの推進は、対面の会話や電子メールなどを活用しているため確定前の情報を蓄積・共有することは難しく、その結果ノウハウも属人化しているとし、そこで拡販プロセスの推進にソーシャルテクノロジーを活用することで確定前の情報を蓄積し、属人化したノウハウを組織で共有するために有効であることを解説しました。
今回は私の所属する部署で、実際に確定前の情報を共有している事例をお話します。
例えば見積書の作成です。
弊社の場合、お客様に見積書を提出するためには、最初に営業部門が見積システムに必要な情報を登録し、それを受けて製品開発部門またはSE部門が見積を作成し見積システムに登録します。
見積の作成には、パッケージ製品であれば前提となるミドルウェアやデータベース、ハードウェア構成、構築作業の内容・工数など、製品ライセンス以外にも様々な項目がありますが、お客様の環境や案件の状況により構成や作業内容、金額が大きく変わってきます。そのため見積作成には関係部署との調整も含め幅広い知識と経験が必要になります。
これまでは、この見積作成において各担当者が電子メールを利用し、関係部署や上司との調整を行いながら見積を作成していたため、見積システムに登録された確定後の見積書が残されるだけで、確定前のプロセスは各担当者のノウハウとして存在していました。
そこで、私の所属する部署では「見積審議」というビジネスログ(InWeaveの特定のメンバーでセキュアに情報を共有するWebページ)を作成し、各担当者は作成した見積を関係者に公開(確認依頼)し、関係部署や上司との間でコメントのやり取りを行うことで確定までのプロセスをコンテンツとして蓄積することが可能になりました。
その結果、別の担当者が見積を作成する際は、これまでのように見積書を一から作成するのではなく、ライセンス数(案件規模)や直販・パートナー経由といった商流など、様々な「タグ」を選択することで、担当案件に近い条件の見積書を検索し、さらにコメントの経緯を追うことで、お客様環境や案件状況を把握し、より精度の高い見積にブラッシュアップし過去の見積を再利用することが可能になりました。作成した見積書は、あらためて「見積審議」に公開され関係者のコメントとともに知識として蓄積・共有されていきます。
見積書の作成以外にも、案件状況を共有する目的で「案件管理」というビジネスログを作成し、案件の報告・相談や、問題発生時に関係者がディスカッションを行い解決までのプロセスをノウハウとして蓄積・共有しています。
「作業管理」というビジネスログでは、案件ごとに構築作業を行った担当者が結果や状況の報告を行い、問題が起こった場合は報告に添付されている「パラメータ設定シート」というお客様の環境や設定情報がまとめられた資料を関係者が共有し、問題解決に役立てます。
また、展示会やイベントに出展する際にイベント名のビジネスログを作成し、事務局に提出した書類やパネル原稿・プレゼン資料などを共有し、他メンバーが担当する別の展示会・イベントに流用することが可能なだけでなく、翌年の同じイベントであれば前年度の来場者数から配布する資料部数を試算したり、終了後のレポートを分析することで出展内容の改善を行い、受注につなげるノウハウとして活かすこともできます。
このように、業務ごとに部内の担当者や関連部署に投稿・閲覧権限を付与したビジネスログを作成することで、確定前の情報をノウハウとして共有することが可能になります。
そして、もうひとつ大きなメリットは、お客様や幹部からの問い合わせにチームのメンバーが担当者に代わって、回答することが可能となります。
つまり情報が属人化せずチームでサポートできることがポイントです。
Posted by matsumoto at 2010.08.08 20:50 | コメント (0) | トラックバック (0)
2010年08月01日
確定前の情報を共有することが企業競争力の源泉になる
企業内には業務情報を管理・共有する様々なシステムが導入されています。
弊社もSIerということもあり、各種申請・承認を行うワークフローや販売管理システム、製造・出荷管理システム、予算管理システム、見積管理システム、ドキュメント管理システム、プロジェクト管理システムなど、業務全般においてIT環境が整備されています。
ところが、各システムにて管理されている情報については、検討や調整が完了した確定済みの情報であり、確定前のプロセスや背景は管理されていません。
そのため、ワーフローにて承認者が判断を行う際は申請者に詳細を確認したり、管理されたドキュメントからは流用可能なものか判断を行うことができず作成者に確認を行うといった具合に、情報が属人化しており、業務情報の管理・共有をITで実現しているとは言い難い状況です。
以下に営業プロセスにおける情報システムの活用を例にあげると、様々な課題が発生していることが分かります。
販売計画・予算策定時においては、事業部・本部の方針や前年度の実績、今年度の案件状況などを総合的に判断し、最終的に認可された予算数値を予算管理システムに登録していきます。
そのため、予算管理システムには確定後の情報が管理されているだけであり、毎年の予算策定時においては、前年度に議論した内容(ノウハウ)は反映されず、各自の記憶を頼りに一から予算策定作業を行っていきます。
営業活動や案件フォローについても、SFA・CRMに提案書・見積データなどのドキュメントや数字データを登録し、受注までのスケジュールや確度などと合わせて管理・分析を行うことが可能になります。
ところが、顧客との懇親会などで聞き出した顧客内部事情や、トラブルが発生した際にSE部門や保守部門を巻き込み議論し解決までに至ったプロセス、顧客のイベント向けに提供した景品やお土産などは営業活動を行う上で重要な情報といえます。この部類の情報はSFA・CRMで管理することは難しく、属人的にならざるを得なかったといえます。
同様に見積を作成するまでのSEや製品事業部、さらに上司との調整も見積システムには登録されていません。
このように、営業活動の各プロセスにおいて様々なシステムが整備されていますが、ほとんどは確定後の情報であり、確定までの営業ノウハウ的な情報は対面の会話や電子メールなどを活用しており蓄積・共有が難しいといえます。例えば、電子メールが宛先に含まれないメンバーに共有されない/人事異動時に個人のフォルダーごと移動するといった具合です。
そこで、以下のように確定前の情報をIT化し、総合的な情報管理を実現することが理想です。
要するに電子メールを活用していた部分にソーシャルテクノロジーを利用することで、コミュニケーションがテーマ別に時系列でアーカイブされ、検索・分類が容易で、人事異動時にもアクセス権を変更するだけで組織知として蓄積・共有が可能になります。
もちろん、各営業関連のシステムからもリンク情報により知識連携を行うことが可能です。
例えば、ワークフローの承認時にソーシャルテクノロジーの記事にリンクし、承認者が申請の理由詳細や背景を確認し承認の判断を行ったり、SFA・CRMに管理されている案件数値の前提となった情報や確度では表現しきれない案件のしがらみなどをソーシャルテクノロジーの記事・コメントから把握するといったことが可能になります。
Posted by matsumoto at 2010.08.01 11:14 | コメント (0) | トラックバック (0)
2010年07月25日
サッカー日本代表の事例
先日、国際フォーラムにて開催されました「日立uVALUEコンベンション2010」には、多くのお客様にご参加いただき、ありがとうございました。
会期中の入場者数は5万人を超え、過去の開催の中でも最高入場者数となり日立創業100周年イベントにふさわしい盛況ぶりでした。
また、弊社セッションにおきましても多くのお客様にご参加いただき、ありがとうございました。
事前の申し込み期間中に満席となり、参加することができなかったお客さまにはお詫び申し上げます。
弊社セッションにて配布した資料において、諸事情により配布できなかった「サッカー日本代表の事例」については、セミナー終了後多くのお客様から配布を要望されましたので、あらためてこちらに掲載いたします。
ダウンロードいただき、先日の資料に追加いただければ、フルバージョンとなります。
ついでに、内容についてもあらためて説明いたします。
前項にて国内における企業倒産の現状をお話しました。
2009年度の企業倒産の8割は販売不振などを理由とする不況型倒産であり、経済環境の変化に対応できなかった企業の現状が浮き彫りになっています。
このような厳しい経済環境の中、増収増益を続ける企業も増えており、この違いはどこにあるのでしょうか?
不況型倒産を回避するにはマーケティング戦略が重要であり、これを実践している事例としてサッカー日本代表の事例が参考になります。
ワールドカップ開催前のテストマッチにて4連敗を喫した岡田ジャパンに対して、国民の多くがグループリーグの突破は難しいだろうと感じたことでしょう。
そこで、岡田ジャパンはこれまでの戦い方を捨て、戦略を変更しました。
まずは、布陣を「攻撃重視」から「守備重視」の布陣に変更し、さらに大久保や阿部、駒野の投入など、90分間走れるメンバーに入れ替えています。
それは、以下の戦略を実践することを考えてのことです。
世界ランク下位の日本が勝つためには「下手なりの戦い方」が必要との方針のもと、対戦相手を研究した戦い方を実践しています。
戦い方1 : 走り勝つサッカー
これまで強豪国との対戦においては、後半にスタミナ切れとなり失点するシーンが実に多かったと思います。
そこで、対戦相手に走り負けず、むしろより多く走ることで数的な優位を作るというものです。
1対0で勝利したカメルーン戦を例にあげると、日本代表が試合中に走った総距離はカメルーンよりも7%増であり、人数分で換算すると、ほぼ1人多い12人で戦えたことになる計算です。
戦い方2 : 自陣に近い位置(ディフェンスエリア)で守る
得点をあげるためには、高い位置(アタックエリア)でボールを奪うことがセオリーですが、強豪国に技術力や身体能力で劣る日本はボールを奪うことができず、背後を突かれて失点するケースが多かったと思います。
そこで、背後を突かれることがないようディフェンスエリアで守る戦略です。
オランダとは2009年の9月にも対戦していますので、その時のデータと比較すると、日本代表がディフェンスエリアで相手からボールを奪った確率は38%であったのに対し、グループリーグでの対戦では63%となっています。
オランダと言えば今回のワールドカップの準優勝国ですから、最少失点の1点に抑えたことは戦略が功を奏したといえます。
戦い方3 : 多数で守り抜く、特に攻撃の要を抑え込む
世界の強豪と比べると、個の実力では競い負けることは否めません。
そこで、相手1人に対して2人で守り、特に攻撃の要を徹底的に抑え込むことに注力する戦略です。
デンマークのエースストライカー ベントナーが味方から受けたパスの本数を、デンマークがグループリーグで対戦したカメルーン戦で比較すると、40本のパスを受けていたのに対して、日本戦では31本に減っています。
また、キラーパスを供給するヨルゲンセンとロンメダールからはカメルーン戦が6本であったことに対して、日本戦ではロンメダールの1本に抑えています。
この結果、日本は大勝し2大会部ぶりの決勝リーグへの進出を決めました。
このように、岡田ジャパンは自分たちの弱みを自覚し、対戦相手を研究つまりマーケティングを行い、その中で活かせる自分たちの強みを効果的に実践しています。
Posted by matsumoto at 2010.07.25 09:34 | コメント (0) | トラックバック (0)



